相続した車の手続きを進めていると、「査定書を添えてください」「評価額が分かる書類はありますか」と言われることがあります。
査定書はその車がいくらの価値なのかを第三者が示した書類で、相続では「100万円以下かどうかの確認」「相続人同士の話し合い」「相続税の評価」の3つの場面で出番があります。
この記事では、相続した車の査定書がいつ必要になるのか、どこで取れるのか、費用の目安と取る時の注意点を、運輸支局・軽自動車検査協会・日本自動車査定協会の公開情報にもとづいて整理します。
まず結論|査定書が必要になるのは主に3つの場面です
- ① 100万円以下の車を「遺産分割協議成立申立書」で名義変更するとき(普通車・運輸支局の手続き)— 100万円以下であることを確認できる査定証などの添付が条件です。
- ② 相続人同士で車の分け方を話し合うとき— 「いくらの車か」を共有できると、誰が引き取るか・代わりにいくら払うかの話が進みます。
- ③ 相続税の申告で車の価値を評価するとき— 車は「売買実例価額・精通者意見価格等」で評価するのが原則で、査定額がその参考になります。
取れる場所は買取店・ディーラー・日本自動車査定協会の3つが代表的で、費用は無料〜1万円前後(取る先と車の種類で変わります)。
軽自動車は、相続による名義変更で査定書を求められるのが一般的ではないため、「軽か普通車か」を最初に確認しておくと手戻りがありません。
普通車と軽自動車の見分け方はこちら→査定書(査定証)とはどんな書類?
車の価値を第三者が書面にしたもの
査定書は、車名・型式・車台番号・年式・走行距離などの車両情報と、査定した日・査定額・査定した事業者名が書かれた書類です。
発行する先によって「査定書」「査定証」「査定価格証明書」など呼び方が違いますが、相続の手続きで求められるのは「いくらの車かが分かる書類」であることが大切で、名称そのものではありません。
「見積書」や「買取金額の提示」との違い
買取店が口頭やメールで伝える金額だけでは、手続きの書類としては使いにくいことがあります。車台番号と査定日、発行元が記載された書面になっているかを確認してください。
有効期間に注意
車の価格は日々変わるため、査定書には実質的な有効期間があります。たとえば日本自動車査定協会の査定約款では、査定日から20日を経過すると、車の状態に変化がなくても通常の減価を行い査定額を変更することがあると定められています。手続きの直前に取るのが基本です。
いつ査定書が必要になる?3つの場面を具体的に
① 100万円以下の普通車を「遺産分割協議成立申立書」で手続きするとき
普通車の相続による名義変更(移転登録)では、通常は相続人全員が実印を押した遺産分割協議書が必要です。ただし、国土交通省の様式「遺産分割協議成立申立書」には次の注記があります。
「申請人である相続人が、相続する自動車の価格が100万円以下であることを確認できる査定証書又は査定価格を確認できる資料の写し等を添付した場合に限り使用可能。」
つまり、申立書を使うなら、100万円以下だと分かる査定書(またはそれに代わる資料)がセットで必要です。関東運輸局の単独相続の案内でも、「相続する自動車の価格が100万円以下であることを確認できる査定証又は査定価格を確認できる資料の写し等を添付した場合に限り使用可能」とされています。
申立書そのものの使い方や、通常の遺産分割協議書との違いは、下の記事で詳しく解説しています。
100万円以下の車の相続手続き(遺産分割協議成立申立書の使い方)はこちら→ 遺産分割協議書とは?車の相続での書き方はこちら→② 相続人同士で「誰が引き取るか・いくらで精算するか」を決めるとき
車は現金のように分けられないため、「長男が車を引き取り、その分を他の相続人に現金で渡す」といった形で話がまとまることが多いです。このときに第三者の査定額があると、金額の根拠が共有でき、後からもめにくくなります。
この場面では法律上の決まった書式はなく、買取店の査定書でも十分に役割を果たします。
③ 相続税の申告で車を評価するとき
国税庁の財産評価基本通達では、車などの一般動産は「原則として、売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価する」とされています(財産評価基本通達129)。実務では、買取店の査定額や中古車の流通価格が参考にされます。
ただし、相続税がかかるかどうか、どの価額で申告するかは財産全体で決まります。最終的な判断は税理士に確認してください。
相続した車の相続税はいくら?の記事はこちら→軽自動車は原則いらない
軽自動車の名義変更は軽自動車検査協会で行い、相続の場合に求められるのは「所有者が亡くなった事実と、新しい所有者が相続人であることが確認できる書面(戸籍謄本等、または法務局が交付する法定相続情報一覧図)」です。協会の案内には遺産分割協議書や査定書の提出は書かれていません。
※ 相続人同士の話し合いや相続税の評価で査定書が役に立つのは、軽自動車でも同じです。
どこで取れる?3つの取り方と費用の目安
※ 日本自動車査定協会の料金は、同協会の支所が公開している査定料金表(税込)の金額です。地域・時期により改定されることがあります。
選び方の目安
- 売却するつもりがある→ 買取店の査定書で足りることが多く、費用もかかりません。査定と売却の相談を同時に進められます。
- 相続人が複数いて、金額の根拠を中立にしたい→ 日本自動車査定協会など第三者機関の査定書が向いています。
- 相続税の評価に使う→ どの書類で足りるかは申告を頼む税理士に確認してから取ると、取り直しが防げます。
取る前に確認したい5つのこと
1. 手続きに使うなら、提出先に「どの書類で足りるか」を先に聞く
申立書に添える書類は「査定証又は査定価格を確認できる資料の写し等」とされていますが、どんな書面なら受け付けられるかは手続きをする運輸支局に確認するのが確実です。先に電話で聞いておくと、取り直しがありません。
2. 査定日は手続きの直前に
査定書には実質的な有効期間があります(前述の約款の例では20日)。相続の手続きは戸籍の収集などで時間がかかるため、他の書類がそろう見込みが立ってから査定を受けるのがおすすめです。
3. 車検証の記載と一致しているか
登録番号・車台番号・所有者名が車検証と一致していないと、書類として通りません。査定書を受け取ったら、その場で車検証と見比べてください。
4. 相続人の署名・印鑑証明は別に必要
申立書を使う場合でも、新しい所有者になる相続人本人の実印と印鑑証明書(発行後3か月以内)、戸籍謄本などは必要です。査定書があれば他の書類が省略できるわけではありません。
相続した車の必要書類一覧はこちら→5. 不動車・車検切れ・遠方の車でも査定はできる
動かない車や車検が切れた車でも、現車確認や写真での査定は可能です。実家に置いたままの車なども、まず「いくらの車か」を把握するところから始められます。
査定書を取ってから手続きを終えるまでの流れ
車検証で「普通車か軽か」「所有者は誰か」を確認する
軽自動車なら申立書も査定書も原則不要です。所有者がディーラーやローン会社になっていないかも見ます。
査定書の使い道を決める(手続き/話し合い/相続税)
使い道で「無料の買取店で足りるか」「第三者機関にするか」が決まります。
他の書類がそろう直前に査定を受け、書面で受け取る
車台番号・査定日・発行元の記載を確認します。
申立書または遺産分割協議書と一緒に手続き(または売却)へ
売却する場合は、査定から買取・名義変更まで同じ窓口で進めると書類の往復が減ります。
相続した車の査定・売却は、まとめてご相談いただけます
相続車の窓口(有限会社グランベリー)では、相続した車の査定から買取・名義変更に必要な書類の整理まで、同じ窓口でご案内しています。
- 「100万円以下かどうか知りたい」段階からご相談いただけます
- 不動車・車検切れ・遠方の車も、写真や車検証の情報から進められます
- 遺産分割協議成立申立書を使えるかどうかの見立てもあわせてお伝えします
- 売却する場合は、査定から引き取り・名義変更まで一括で進められます
※ 状況により追加確認が必要な場合があります。相続税の評価は税理士にご確認ください。
よくある質問
買取店の無料査定書でも、運輸支局の手続きに使えますか?
申立書に添える書類は「査定証又は査定価格を確認できる資料の写し等」とされており、買取店が発行した書面で受け付けられる例も多いです。ただし最終的には提出先の運輸支局の判断になるため、事前に確認してから取るのが確実です。
査定書はいつ取ればいいですか?
手続きの直前がおすすめです。査定額は時間がたつと変わるため、戸籍謄本や印鑑証明書など他の書類がそろう見込みが立ってから受けると、取り直しを防げます。
軽自動車の相続でも査定書は必要ですか?
軽自動車検査協会の名義変更では、相続を証明する戸籍謄本等(または法定相続情報一覧図)が必要で、査定書や遺産分割協議書の提出は案内されていません。相続人同士の話し合いや相続税の評価で使う場合は、軽自動車でも査定書が役に立ちます。
査定額が100万円を少し超えていたら、どうなりますか?
遺産分割協議成立申立書は使えず、相続人全員の実印を押した遺産分割協議書での手続きになります。相続人が遠方にいる場合などは早めに準備を始めてください。書類の整理から当社でもご案内できます。
まとめ
相続した車の査定書は、「100万円以下の申立書」「相続人同士の話し合い」「相続税の評価」の3つの場面で必要になります。
- 普通車で申立書を使うなら、100万円以下だと分かる査定書(または査定価格が分かる資料)がセットで必要
- 取る先は買取店(無料が多い)・ディーラー・日本自動車査定協会(有料・中立)
- 査定は他の書類がそろう直前に。車検証の記載と一致しているかを確認
- 軽自動車の名義変更では原則不要。相続税の評価は税理士に確認
「うちの車は100万円以下に当たるのか」「どの書類で足りるのか」といった小さな疑問からでも、お気軽にご相談ください。
「100万円以下かどうか」から、一緒に確認します
査定書の取り方が分からない、まだ売るか決めていない、という段階でもご相談いただけます。
車検証の写真や今わかる情報だけで、進め方をご案内します。
この記事の運営・監修
運営: 相続車の窓口(有限会社グランベリー)
1989年創業・車の買取歴37年。相続にともなう車の売却・引き取りを全国対応で行っています。
監修: 代表 山田秀夫(行政書士有資格者・車買取歴37年)
車の相続手続きに関する記載は、行政書士有資格者が内容を確認しています。個別の法律・税務判断は専門家にご相談ください。

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